当たり前ですが、料理人が違えば、同じ食材・同じレシピを使っていても味は変わってきます。

今回は、いわゆる「格ゲー古参」的な人たちの誤解を解いてみたい、と思ったので書いてみます。


セオリーの違いとは?

まず、

  • 「作品・会社が違えば、格闘ゲームのセオリーは違ってくる」

というのは当たり前の事です。

いくつか例を挙げると、例えば国産RPGの筆頭格である「ファイナルファンタジー」と「ドラゴンクエスト」があります。

この2つは「『国産RPGというジャンル』に共通するセオリー」があるからこそ似通っている部分がありますが、そのほかのルール・ゲーム様式は大きく違います。

  • 「RPG」という「ジャンルに共通するセオリー」
    • ダンジョンの奥にはボスがおり、ボスの間近にはセーブポイントがある
    • HP/MPがヤバくなったらアイテムでの回復を行う、宿屋に泊まって回復する
    • 相手の弱点を突くと大きなダメージを与えられる

などなど。

しかし、自動車で例えると、後輪駆動・前輪駆動・四輪駆動では車の特性や動かし方は変わり、同じ自動車カテゴリでもバス、タクシー、軽自動車、トラックでは運用方法も必要になる免許も違います。

それなのに「格闘ゲームだけはそうじゃない」と考えている人が非常に多いのはどうしてなのだろうか。


本題に入る前に、一つ。

  • 出てくるゲームの分類は「カプゲー」「SNKゲー」「コンボゲー」という3つの小クラスタに分けます。

これらに属さない作品についても書きたいんですが、何しろ多くの例外があるのでそれはまたいつか別の記事で。


ゲームメーカーから見た違い

さて、ではまず「カプゲー」「SNKゲー」「コンボゲー」の違いを説明します。

1:基本的なゲーム設計が別物

その根拠を説明するため、まず格闘ゲームの歴史をひもとき、意味づけていきます。

  • カプゲー→80年代後半出身。格闘ゲームの開祖にして、メインストリーム。
  • SNKゲー→80年代後半出身。カプゲーへの対抗勢力の中心核として活動。
  • コンボゲー→90年代後半出身。「カプコン VS SNK」の構図に飽きた人たちによって誕生。
    • かいつまんでの説明。ホントはもっといろいろある。

という感じです。

これらを見れば分かるように、それぞれ小クラスタは誕生の構造・事情が違うわけです。

つまり、

  • 格闘ゲームという同じカテゴリであっても、同じセオリーを使っているゲームとして分けることは出来ない

と言えます。

こうした「誕生した経緯が違うことで生まれる些細な差異」は、成長するにつれて大きな差異となります。

2:新しいゲームは流行りに対抗して生まれる

また、それぞれのゲームは誕生に由来してゲーム内容・設計も違います。

  • SNKは、カプコンの我慢ゲーが合わない・飽きた人向けに「見せゲー」を作った。
  • コンボゲーは、「我慢ゲーVS見せゲー」の構図に飽きた人向けに作られた。

これを商業的観点で見てみると、非常に面白いことが分かります。

市場の経験則として、

  • 【新商品は、既存の物よりも差別化・先鋭化しようとする】

というルールがあります。

これは「格闘ゲームが商品である以上、市場原理から逃れられないという示唆」でもありますが、同時に「市場にある以上、同じ作品は存在しない」ということを市場的な意味で表しているわけです。


こうした誤解はどうして生まれるのか?

  • ギルティ? 俺カプゲーやりこんでたからw
  • メルブラやってたからギルティとか余裕w
  • ギルティやりこんでたから、ブレイブルー稼働直後から連勝してやるw

……なんかギルティばっかり揶揄してますが、まあ、それはさておき。

こういう、「それなりに格闘ゲームに対して知識がある人」ほど、別のクラスタに移りにくいし、また定着しづらいのは、

  • 「格ゲーのセオリー」の互換性はない
  • しかし、「一つのゲームをやり込んだ」という成果から生まれる自信を持っている

という「認識の齟齬」が存在することで発生する問題なのです。


実際、そんなことはあるのか?

ここでかのウメハラを引き合いに出します。

カプゲーではもはや敵なし・絶対王者とも言うべきプレイヤーでしたが、「GG参入直後は嘘のように負けていた」という話があります。

これを分析すると、

  • カプゲーとギルティでは要求されたセオリーが違ったから

と言えるのではないかと。

当時からカプゲーをやり込んでいたウメハラは、

  • 同じゲーム会社であれば、違うシリーズの格闘ゲームにも適応出来る

というスキルをやり込みによって会得しました。

また、実際にカプゲーのセオリーは、別シリーズでもわりと高めの互換性を持っていたわけです。

  • 別にこれは悪いことではなく、「一つのセオリーを覚えてしまえばいろいろなゲームで遊べる」という意味では非常に集客しやすい手法です
    • アークシステムワークスも、「北斗・BASARA」「GGXX・BLAZBLUE」でゲームごとに大小の差異はありますが、共通する部分は多いです。
    • SNKはKOFやら何やら出してますが、ベースとなるゲームセオリーはほとんど変わっていません(システムは毎回弄ってますが)

しかし、別の会社であれば「市場的に既存作品と差別化するために既存ゲームと基本設計が違う」というわけで、

ウメハラが保有していた「カプゲーのセオリー」の互換性は、コンボゲーに対しては通用しにくいわけです。

だからこそ、当時のスレでは、

  • ウメはもうだめだ 弱くなった
  • 全盛期に比べたら駄目になった
  • ギルティ向いてない

という風な書き込みが非常に多かったわけですね。

ともあれ、この事例は「どんなに上手い人でも、ゲームの枠に縛られる」という考えを支える実例と言えます。

(もちろん、ウメハラはやり込みでギルティのセオリーを学んで闘劇まで行きましたが)


ウメハラを引き合いに出しましたが、実際の話、

  • ギルティの読み合い
  • カプゲーの読み合い

では、まず前提としてのゲーム設計が違うので選択肢も状況も違ってきます。また、そうなっていると立ち回りに要求されることもキャラの理解度も違ってくるわけです。

それなのに出身ゲームのセオリーを別ゲーに持ち込もうとして失敗する人は非常に多い。

つまりこれは、「そのゲームで育った」限りはなかなか抜けられない、いわば「癖」です。


しかし、「別ゲーが合わない・心が折れる」というの人は一つのゲームのセオリーしか持っていないことが多いです。

またこの状況で別クラスタのゲームに移動しようとすれば、

乗り越える壁(ゲームに対する知識、セオリー)などは非常に多くなる。

んで、サブのゲームで負けると、

  • (自信があっただけに)クソゲー、つまんねー

ということで、自分がメインにしているゲームに戻る人が多くなる。

こういうケースを重ねていくことで自然と別ゲーをやらなくなる人は超多いと思うし、またそれは自然な話だと思いますなー。


……で、ぶっちゃけると?

スト系やってる人がKOFとかギルティをほいほいやっても勝てるわけねーだろ!! ゲーム会社とセオリーが違うんだからさ!

ってことです。

ただ、プレイヤー能力が高くなってくると、「ゲームの勝負所」が見極められるので「そのゲームにあった考え方」がすぐ出来ちゃうわけですが。