格ゲーが上手くなりたい時、まず覚えるべきことは何か?

コンボ、技性能、立ち回り、いろいろありますが、今回は格ゲーの上手さ、強さの評価基準であり、対人戦の要の一つでもある「牽制」について書いてみます。

なお、「牽制」と「牽制攻撃」の違いについては閑話にて少し触れます。

牽制攻撃の種類

そもそも、牽制攻撃は振る目的によってその種類が分かれています。

目的で分類すると、

  • 相手の行動を抑止するための牽制攻撃
  • 相手の行動を潰すことを期待した牽制攻撃
  • 相手に警戒をさせておくための牽制攻撃

という3種類に分けられます。

で、それぞれの牽制攻撃について解説する前に「牽制攻撃とはなんぞや?」ということについて考えてみます。

牽制攻撃を振る意義とは?

まどろこっしいのは抜きにして、牽制攻撃を振ることで得られる物とは「試合の主導権」です。

主導権を分かりやすく言うと、「プレイヤーが思った通りに試合を展開する(=リードする)権利」のことです。

試合を動かす権利って何?

相手の行動を抑止するための牽制攻撃
  • 相手がジャンプしそうなところに攻撃を出す
    →相手がジャンプしようとしたら引っかかるような出し方で出す。
    • 相手が「動いていたら当たる間合い」で出す。
相手の行動を潰すことを期待した牽制攻撃
  • 相手が「技を出そうとしたところ」に攻撃を出す
    →相手が技を出そうとしたらヒットするように出す。
    (技を出す時は食らい判定が大きくなることが多く、そこにヒットすることを狙う)
    • 相手が「技を出そうとしていたら当たる」という間合いで出す。
相手に警戒をさせておくための牽制攻撃
  • 相手がどうしていようと当たる間合い、空振っても反撃を受けにくい技を出す
    →相手が動こうとしたり、技を出そうとしたら当たるように出す。

こうした動きを積み重ね、相手に「自分が有利になるような行動」をさせないようにすることで、心理的にも状況的にも優位に立ち、展開をコントロールしていきます。これが「試合を動かす」という結果なのです。

しかし、これでもまだ抽象的なので、もっと具体例を挙げて考えてみましょう。

キャラ相性と立ち回りについて

格ゲーではキャラの相性・強さをダイヤグラムで表すことがあります。
ダイヤグラムとは「6:4で○○が有利」「4.5:5.5で不利」という風に数値でキャラ相性を表現する、評価方法です。

で、このキャラ相性を「主導権の握りやすさ」という観点で評価すると、

  • 5:5→お互いに主導権を奪いやすい(=維持しにくい)相性。同キャラ戦は基本的に5分。
  • 7:3→片方がかなり有利な相性。試合の主導権は7側がほとんど握っており、3側は相手がミスしない限り主導権を得られない。
  • 9:1(10:0)→理論上では絶対に負けない(≒一方が主導権を絶対に得られない)相性。

てなカンジになってます。

この相性から言えることは、

  • 対戦では、試合の主導権を握りやすいキャラが相性有利と評価される

となります。

牽制と立ち回りの関係

ここまでで「牽制攻撃を振ることで、試合の主導権が得られる」と書きました。

で、主導権を得ることが具体的にどういうメリットがあるかといえば、

  • 自分が有利な状況を作れる…かもしれない

ということだけです。

「え、これだけなの?」と思うかも知れませんが、実はこれが大事なんです。

「主導権を得る」ということは、「自分が試合の流れを決める権利を持つ」(オプーナじゃないよ)ということです。

試合の流れを決定できる?

「試合の流れを決定できる」ということは、

  • 自分が常に有利な状況になるようにする
  • 自分が不利な状況にならないようにする

ということを、一方のプレイヤーがコントロール出来るわけです。つまり、駆け引きのタイミング、間合い、攻めや守りの仕掛けどころなど、試合のペースを支配できる。

逆に、相性不利側の相手は、

  • 自分が常に大なり小なり不利な状況になっている
  • 自分が有利な状況に持ち込むようにしなければならない

という風に、常にマイナス・不利状況で対戦することになるわけですね。

ここで出てくるのが「立ち回り」という言葉です。

立ち回りと主導権と牽制の力関係

「立ち回り」をかいつまんで言えば、「自分が有利になるような動き」のことです。

(ここらへんは熊花日記:[ゲーム]キャラ対策の考え方・作り方フローをバラしてみる(その0)で書いてますね)

で、自分が立ち回りで有利になるためには、一瞬でも試合の主導権を握る必要があります。

(自分が動きにくい状態では有利になる立ち回りは出来ない)

そして、試合の主導権を握るには相手の立ち回りを封じる必要があり、相手の立ち回りを封じるには「牽制」を使う必要があるというわけです。

つまり「有利に立ち回りたい→相手の立ち回りを妨害すればいい→牽制攻撃を振る」という思考フローですな。


では、どういう風に牽制を振ると試合の主導権が得られるのか?

最初に書いた3種類を解説しながら、考えていきます。

牽制の種類を解説

相手の行動を潰すことを期待した牽制

  • 「牽制潰し」とか「置き〜〜」と呼ばれる攻撃

主に相手の牽制技が自分に当たらない距離で、「相手が牽制技を出した時にその牽制技を潰せる技」を置いておくのがこの牽制ですな。

具体例
  • スト4:
    リュウの大足や中足牽制→間合い調節で避けて波動をぶつける
  • BB:
    ラグナの中距離からのHFでの接近読み→DDや飛び道具を合わせてCH→CHしたら追撃
  • GG:
    ソルのGVor足払い読みで足払いを置く→こちらの足払いがCH→追撃
  • P4U:
    鳴上の5B読みでリーチの外から判定の強い技を置く→こちらの足払いがCH→追撃

このタイプの牽制を振るのは、主に中距離以降の、「相手との距離が近い間合い」が多いです。

また相手との技相性が分かっている人(=キャラ対策が出来ている人)ほど、このタイプの牽制を振ります。

相手の行動を抑止するための牽制攻撃

  • 「相手に当たっても、当たらなくてもいい攻撃」

持続が長かったり、攻撃範囲が広い牽制技は大概これに分類されます。

行動の意味としては「とにかく相手にその行動をさせない・させにくくさせる」のが目的です。

  • ヒットしたらそのまま追撃してリターンを取ってもいい
    ヒットしなくても相手がその行動をし辛くなる
    というメリットのある牽制ですね。
例:ジャンプ抑止行動
  • スト4:
    投げなどで相手を画面端に追い込む→間合いを取って垂直J→横方向へ判定が強い・リーチの長い通常技を置く
    ダルシムで中距離ぐらいで立ち強Kを置く
  • BB:
    固め中に相手がJ逃げしようとするところに5A連打したり、空中ガード不能技や投げをぶつける
  • GG:
    アクセルで安全距離から立ちP、6K、2Sを振って、ジャンプしづらくする
  • P4U:
    鳴上で安全距離からCジオを振ったり、ダッシュ2Bでジャンプしづらくする

このタイプの牽制を振るのは体力に余裕があったり、相手の動きの癖を調べる時に振ってみます。

間合いとしてはやや遠目、もしくは至近距離あたりが狙い目です。

(動きを抑止するのが目的なので、技を振ること自体に高いリスクがあると振り損になる)

相手に警戒をさせておくための牽制攻撃

  • 「振ったときに、相手に当たらなくていい牽制」

攻撃を空振ってもいいし、相手にヒットorガードしてもいい。

とにかく攻撃を振ることで「相手にその攻撃を意識させる」のが目的です。

ステップ・前ダッシュ抑制
  • スト4:
    小パン連打、置きセビ→バクステ、屈伸、溜め作りながら待ち、屈中K連打、屈中P置き…etc
  • BB:
    キャラによる。ハザマなら2A連打、J3D・J4D・J6Dでの地上への牽制など。
  • GG:
    キャラによる。カイならSスタンやチャージスタン、ジョニーならコイン、アクセルなら立ちP、
    医者なら物投げ・レレレ、鰤なら2P・遠Sあたり。
  • P4U:
    リーチの長い技、飛び道具など。

これを振るケースは……わりと気分ですね。

様子見の一環としてやったり、何かを電波受信してやることもあります。

閑話:牽制を振らないことも牽制?

上で書いたこととはちょっとズレますが、「牽制を振らないのも一つの牽制」だと思います。

というのも、上記3種の牽制は試合の主導権を握るための牽制なので、自分から手を出すことが前提となっているわけです。

つまり「相手が『何か牽制を出す」のを読んで無敵技などを置いていた場合、こちらが一方的に負ける」という可能性があります。

スト4の動画を見ていると、たまにお互いが密着気味の近距離なのに全く動かない瞬間(いわゆるお見合い状態)がありますが、これはお互いに「牽制を出すと、逆にこっちが負ける!」と判断したときに起きる現象です。


牽制と牽制攻撃の違い

冒頭で少し触れましたが、「牽制」と「牽制攻撃」には大きな違いがあります。

  • 牽制:相手にプレッシャーを与える「行動」
  • 牽制攻撃:相手にプレッシャーを与える「攻撃」

重要なのは牽制の「相手にプレッシャーを与える『行動』という部分です。

「行動」というのは、様子見ジャンプ、バックステップ、屈伸、前後歩きなどの移動動作も含まれます。

………何言ってるか分からないと思うので、具体例を出してみます。

存在自体が牽制になる?

一部タイトルでは「一定条件下では立っているだけ、前後に歩いているだけでも一種の牽制になる」というキャラが存在します。

  • GG:
    ACスレイヤー(TG25%、50%以上)
    ACエディ(エディゲージMAX)
    ACジョニー(MFレベル2以上、TG50%以上)…etc
  • BB:
    磁力付加状態+DD使用可能なテイガー
    烙印状態にさせたアラクネ
  • スト4:
    ザンギエフ(UC使用可能状態)
    サガット&リュウ(セビキャン&UC使用可能状態)
  • P4U:
    ゲージ150%の鳴上、完二

このように一方的なまで強力な技(主にヒット時のリターンが非常に大きいのにガードされたとき・外した時のリスクが低めな技)を持っているキャラが、条件を満たした時、主導権はほぼ相手側に渡ってしまいます。

何故なら、相手側は「この強い技でお前は牽制攻撃を安易に振れないよ? あぁん?」という強力なプレッシャーを手軽に押しつけることが出来るからです。

上記キャラで言えば、

  • GG:
    ACスレイヤー→発生早い・無敵時間あり・判定強い・ヒット時追撃可能なビックバンアッパー
  • BB:
    テイガー→うっかり暴れれば吸い込みGETBでごっそり
  • スト4:
    ザンギエフ→1F発生のUCで5割奪える
    サガット&リュウ→昇竜暴れなどから追撃UCで6割ゲット

というカンジです。

なので、出来るだけこういう状況を作らせないよう、事前に立ち回っていくことが重要です。

(=牽制を振ってゲージ溜めを妨害したり、相手のゲージを吐かせる立ち回りをするなど)

閑話休題。

牽制の意味は重複する?

さて、ここまで見てきた牽制はどれも使い方が明確な物ばかりです。

ではラグナ5Bはどういう牽制技かを考えてみましょう。

ラグナ5Bの性能を確認すると、

  • 片足での前蹴りで発生がそこそこ早く、リーチも長め
  • 姿勢の低い相手には先端が当たりにくい
  • ヒット時に安定してコンボに行ける

と、牽制技でありながらもコンボ始動技でもあります。

この場合はどういう分類になるかというと、実は「3種全ての牽制に当てはまる」と言えます。

  • 相手の行動を潰すことを期待した牽制
    リーチがある+ヒット時にコンボに行けるので間合いにこだわらずに振れる
  • 相手の行動を抑止するための牽制
    長いリーチ・持続のおかげで、置くように使うだけでも動きの出がかりを潰しやすい
  • 相手に警戒をさせておくための牽制
    リターンの高さから、空振りでも技自体を警戒させやすい

と、様々な状況で使える便利な牽制技となっています。

なのでラグナの5Bは「様々な状況で運用出来る、優秀な牽制だ」と言えます。

こうした、牽制技の種類を意識することで、対戦で見えている、感じとれる情報は一気に増大します。

対戦動画で強豪プレイヤーが何気なくやっている無駄に見える行動が、実は牽制読み行動だったり、揺さぶりの牽制行動だったりするわけです。

対人戦が強くなりたい、上手くなりたい、と思う人は自キャラの牽制技、行動についてじっくり考えてみるのも深い勉強になるでしょう。