• 格闘ゲームのプレイスタイルに「ガン攻め」というスタイルがある。
    牽制勝負や差し合いを拒否し、とにかく前に出ることでプレッシャーを与え、
    判断ミスを誘発させてリターンを取る。

    そういう、強気なスタイルだ。
  • このスタイル自体はスト2時代から存在するプレイスタイルで、決して弱いスタイルではない。
    しかし、初心者がこのガン攻めスタイルを行うと、ただの特攻になる。


  • 今回は、なぜ「初心者のガン攻めスタイル」が弱いのかについて説明する。

そもそも、なぜガン攻めを行うのか?

  • だいたいの動機は、
    ・防御が苦手・ヘタだから攻撃し続けたい。
    ・攻めていた方が気持ちいいし、楽しい。
    あたりだろう。
  • 読み合いのリスクリターンを考えて付き合うよりも、
    「自分のプレイスタイルを押し付けて対戦に勝つ」方が楽だし、
    かっこよく思える。
    何より、ゲームをやっていて楽しい。
    ただ、その動きは一定以上の力量を持つプレイヤーには通用しない。
    その理由を説明しよう。

ガン攻めの弱点

常に自分から攻めることになる

  • これに尽きる。

弱点その1:引き出しが少ないからこその特攻

  • 原則として「読み合い」「駆け引き」をする時に、
    相手の癖を知っていることは大きなアドバンテージになる。
    • 例:野球のピッチャーが
      「フォークを投げるときには必ずボールの握りを見て確かめる」
      というクセを持っている場合、
      打者はそのクセが出たかどうかで投げる球種・コースをある程度絞り込めてしまう。
  • 初心者の場合、
    ・ゲームをやり込んでいないので経験値が少ないため、攻めパターンが少ない
    という弱点がある。
    この状態でガン攻めスタイルを選ぶと、
    少ない攻めパターンを繰り返して攻め込んでいく
    ことになる。
    • なので、この「少ない攻撃パターン」自体に対策されると、攻め手が一気になくなってしまう。
      ここで、自分では『格好良く気持ちよく攻め込んでいる』つもりなのに、
      相手からすれば『同じ攻撃パターンで突っ込んでくるだけ』というギャップが発生している。
具体例

弱点その2:暴れ、割り込みに弱い

  • ガン攻めスタイルは「とにかく前に出る」「相手を固める」ことに執着するため、無敵の付いた暴れ・発生が早い技での割り込みに弱くなる。
    • 格闘ゲームは、
      ・相手に攻撃をヒット・ガードさせると自分が後ろに下がる(ノックバック)
      という現象がある。
      このため、相手を固めていると次第に間合いが離れてしまう。
      この「攻撃を当てて離れた間合い」を
      すぐにダッシュや前歩き、ジャンプ、低空ダッシュなどで詰めてしまう」
      のが、ガン攻めスタイルの特徴であり、弱点でもある。
  • なぜ「すぐに距離を詰めること」が弱点とされるのか?
    それは「前に歩く」「ダッシュで間合いを詰める」という動きをしている時は、ガードすることが出来ないから。
    つまり、相手に近づこうと踏み込んだ瞬間は「相手の攻撃をガードできない→相手の暴れ・割り込みがヒットしやすい」ということになる。
    • 前ジャンプにしても、空中ガードがないゲームのジャンプは非常にハイリスクな行動である。空中ガードがあったとしても、空中ガードを選んだ時点で空中投げを狙われる可能性がある。
  • 結論。
    一度攻めて間合いが離れ、もう一度攻め直そうと前に出た瞬間には、非常に高いリスクが存在する。
具体例
  • 前ステップ・歩きなどで踏み込む→コマ投げ暴れで吸い込まれたり、昇龍を食らう。
    • 投げ暴れ:
      ザンギエフの弱スクリューやUC1、テイガーのGETB、ハザマの牙砕衝、完二の串刺しだぁ!など。
    • 暴れ昇龍:
      ソルのVVやタイランレイヴ、ラグナのインフェルノディバイダー、ハザマの蛇翼崩天刃、鳴上の逆ギレなど。
  • 低空ダッシュ、ジャンプで飛び込む→対空技、ジャンプ防止技でダメージ。
    • 対空技:
      各種昇竜拳、通常技、対空投げ、空対空など。
    • ジャンプ防止技:
      上入れっぱの相手を狩れる技、攻撃の打点が高い技など。

上級者のガン攻めとの違い

違いその1:リスクを理解した上でのガン攻め

  • 初心者は行動のリスクを理解せずに前に出るが、
    上級者は【リスクを理解した上で】敢えてガン攻めをする。
    • 要するに「リスクを理解する知識と覚悟があるかどうか」である。
      ガン攻めは「リスクもあるが、リターンもある」ので、リターンを求めてプレッシャーを掛けていく。
    • 上級者の場合、ガンガン攻めていくことで相手に行動する時間やスペースを与えないように行動する。
      体力差やゲージ差などで流れが傾いてしまえば、そこから勢いを盛り返す/逆転するのは難しくなる。

違いその2:相手の暴れを読んだときの行動を知っている

  • 初心者はとにかく自分が攻めることに目的とする。
    上級者は【「ガン攻め」で相手に動きを強制させ、その動きを読んで潰す】のが目的。
    • 上級者の場合、ガン攻めする動きを見せて「固め直そうと踏み込むタイミング(=相手が暴れそう、行動しそうなタイミング)」で動きを止めたり、ガードをして相手の暴れ行動を誘ってカウンターを叩き込む。

ガン攻めを止めるには

  • これまで述べたように、
    「こいつはガン攻めスタイルだ」と読まれるだけで読み合いではかなり不利になる。
    「自分が不利になることを、わざわざ自分からやる必要はない」のだ。

動きのリスクを知る

  • 前に出る瞬間はガード出来ない=そこを狙って攻撃されると無条件でダメージを食らう。
    • つまり、
      前に出る瞬間を狙って攻撃されなければ、前に出ることは出来る、と考える。
      • ・固めの後、少し下がって様子見を混ぜてから前に出る
        ・牽制技ガード後、小技を空振りして意識を散らす
        あたりは実戦で使える動きだろう。
    • これは別にガン攻めに限らない。
      ジャンプすれば対空を食らう可能性もあるし、牽制をすれば牽制技を潰される可能性がある。
  • 格ゲーにおいては相手に行動を読まれれば、どんな行動もリスキーになる。
    相手に動きを読まれないよう、動きにバリエーションを付けて立ち回るのが読み合いを制するコツ。
    読み合いをコントロール出来る人は、対戦で安定して勝てる人である。

動きのバリエーションを増やす

  • 初心者がガン攻めスタイルを選ぶのは、「立ち回りパターンの少なさ」が主な理由。
    なので他のプレイヤーの動画を見て、自分の知らない立ち回りパターンを知ることで解決出来る。
    • ケン使いならば「吉祥寺ケン」「wao」「マイケルたん」「ももち」あたりが有名プレイヤー。
      彼らの動きを見れば「同じキャラでも立ち回り方が違う」というプレイヤーの違いを感じられるだろう。
    • 他のゲームにおいても、自分のメインキャラと同じキャラを使う有名プレイヤーの動画を見て、その動きを真似ていこう。
      何か真似られそうな要素、取り入れられそうな動きがあったら、積極的に取り入れて強くなろう。動き、コンボに著作権は存在しないのだから。